稽古と形について
神道夢想流杖術では、稽古として杖と太刀(木刀)をもった二人一組で決められた形を習得していきます。いわゆる形武道ですが、白樫で作られた杖と太刀で真剣に打ち合うため、通常の武道と同じく体力・集中力・精神力が求められます。
初心者は、初めに相対動作といわれる杖の基本動作のうち、本手打ち、逆手打ち、引落打ち、返突きの四つの動作を習い、その後、水月・斜面という初心者の練習用の形を習得し、表の形から稽古に入ります。
神道夢想流でも習得者の技術段階に応じて徐々に難しい技を稽古するわけですが、神道夢想流杖術は特にそのカリキュラムがよくできており、全69本(水月・斜面を除く)の形をきちんと最初から修めていくことにより、自ずと技術が習得できるように形そのものが段階を経て構成されています。
(竃門神社内の「神道夢想流杖道発祥の地」の碑 撮影 癸生川研一)
以下に相対動作及び形の名称を記しますが、表記の順・修練の目安は当連盟のものです。
相対(形で用いる杖の基本動作をまとめたもの 12動作)
本手打・逆手打・引落打・返突・繰付・繰放・体当
体外打・突外打・胴払打・巻落・逆手突
表(初段をとるまでに修練する事を目安とする 12本)
太刀落 鍔割 着杖 引提 左貫 右貫
霞 物見 笠之下 一禮 寝屋之内 細道
中段(2〜3段をとるまでに修練することを目安とする 13本)
一刀 押詰 乱留 後杖(前、後) 待車 間込
切縣 真進 雷打 横切留 払留 清眼
乱合 (目録にその名はないが、表、中段の技を総合した形で手数も多くスピード
も要求される。3〜4段をとるまでに修練することを目安とする 2本)
大太刀 小太刀
影 (表業と同名の形で構成されており、黒田藩においては、これ以上の形は人目を
避けて夜間に稽古を行い、稽古を許された者以外目にすることも許されなかったとい
われる。4〜5段をとるまでに修練することを目安とする 14本)
太刀落 鍔割 着杖 引提 左貫 右貫
霞 物見 笠之下 一禮(前、後) 寝屋之内(前、後) 細道
五本の乱 (第二十五代の統、故清水隆次克泰師範が考案した形で、表、中段、影
を総合し、乱合を発展させた中級者の修業を目的とした形である 5〜6段の高
段位をとるまでに修練することを目安とする 5本)
太刀落の乱 左貫の乱 間込の乱 霞の乱 斜面の乱
五月雨 (乱と同じく5〜6段の高段位をとるまでに修練することを目安とする
6本)
一文字 十文字 小太刀落 微塵(表、裏) 眼潰
奥 (5段以上となり、心・技・体が備わった者だけに個別に伝授される 12本)
先勝 引捨 小手搦 十手 打分 水月
左右留 小手留 突出 打附 見替 阿吽
極意 (奥の修練が終わってから、一本ずつ免許が与えられ、5本全てを教わった
者は免許皆伝となる 口伝のみ5本)
闇打 夢枕 村雲 稲妻 導母